本が教えてくれた「ストレス」というもの
ストレス(緊張)は本来、悪いものではなく、命を守る良いシステム。
はるか昔、人間は危険な動物達が住む自然界の中で狩猟をして生きていた。
そこは、いつも危険と隣り合わせ。
ストレスは脅威に対する反応。
危険な動物に遭遇したときに、すぐに行動「闘争か逃走か」に移せるように、
体にあらゆる反応をさせる。
俊敏な動きや力を発揮させるため、筋肉に大量に血液を送り込む。
そのため、体のポンプを起動させ、拍動を強く早くさせる。
ストレス(緊張)を感じると心拍数があがりドキドキするのはこのため。
そして目の前の危険に集中し、その他のものへの意識を後回しにさせる。
集中力が高まった状態。
いわば目の前の「闘争か逃走か」以外のことを放棄してしまう。
ストレス(緊張)を感じていると、食欲がなくなったり、お腹の調子が悪くなった
り、吐き気を感じたり、不眠になるのもこのため。
体は今、危険な状態にあると判断しているから、休息や消化どころではないのである。
それどころか、意識をはっきりさせて、体の中も軽くさせておく必要がある。
現代では命の危険を脅かすほどのストレスにさらされることは余程ない。
ただしそこまで強くないストレスではあるが、長くその状態にさらされる傾向にある。
このような「闘争か逃走か」といった、緊迫したスイッチが入り続け、エンジン全開の状態が長く続けば当然、精神的にもつはずはない。
機械も人も同じ、高負荷で長く運転させれば、機械は故障して動かなくなる。
人は、無気力になり、疲労感により何もできなくなる。起き上がることさえもでき
ない状態となってしまう。
短期的には意識を集中させ、運動能力を高め、高パフォーマンスを発揮させる力と
なるが、長期的となると、それが逆に負担となり害となる。
そうはいっても、現代の人間の体は、危険と隣り合わせの狩るか、狩られるか、
の中、暮らしていた時から、長く時間が過ぎて時代が変わったのと同じで、人間の
体も変わったと思うかもしれないが、我々、元をたどれば猿の時代から進化して生
きて今がある。
長い進化の歴史でみれば、生活様式が変化した年数はそれほど長くはない。
そして人間の脳は長い時間をかけて変化、進化している。
今の我々の脳は基本的な部分は昔のままなのである。
蛇をみて身の危険を感じドキッと反応するのも、気味が悪いというのもあるが、
本能的な反応だろう。
今の時代なら、蛇に命を奪われるよりも、車に命を奪われることのほうが、よっぽ
ど多い。脅威を感じるなら、蛇より車だろう。
それでも、蛇に体が反応するのは、元々刷り込まれた脳の記憶、本能が昔のままで
ある証拠にもなる。
「不安」もまたストレスと同様に「闘争か逃走か」が働く。
ストレスは脅威そのものに対する反応。
不安は脅威になり得るものに対して起こる反応(起きるかもしれないという脅威)
将来起こりうるものに対しての警告であるため、不安は計画を立て集中するのを
助けてくれる。
ストレスの影響を知り、コントロールすることで、害ではなく味方にできれば、
現代のストレス社会も力強く生きていきられるかも。
最後にストレス(緊張)がもたらす影響を整理する。
・精神的に落ち着かない:その場から離れたい、逃げたいという反応。
・身体が落ち着かない:「闘争か逃走か」の反応をしているため、目の前に敵が
いなくても動こうとする反応。
・疲労感:警戒状態にて大量のエネルギーを消費する。
・お腹の不調:「闘争か逃走か」を優先し食べ物の消化吸収を後回しにする。
・吐き気:胃を空にすることで素早い動きをとろうとする。
・口の渇き:「闘争か逃走か」に備え、血液が筋肉に集中する。唾液は血液から
水分を取り出すが血液が少なくなることで口が渇く。
・汗をかく:「闘争か逃走か」のため体を温める。温まった体を冷やそうと汗をかく。
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