嫌われる勇気
【著者】
岸見一郎
古賀史健
【キッカケ/目的】
ベストセラーとなり本屋でもよく目につく所に設置されていて気にはなっていたが、特に気にしていなかったが、最近、心理学や脳科学の本を読んでいて、この「嫌われる勇気」のサブタイトルにアドラーの文字が入っていたので気になり今回、読んでみた。
【内容】
哲学者と青年の対話という形で、どうすれば「人は変われるか」「幸せに生きることができるか」をアルフレッド・アドラーの思想を用いて伝えられている。自分に強い劣等感を抱いている青年は、アドラー思想をすんなりとは受け入れられず、哲人に時に感情的に自分の考えをや反論するような問いを投げかけながらも議論を続けていくことで、だんだん考え方に変化が現れる。
【感想】
アドラーの思想や言葉よりもまず、この哲人の冷静な態度、どんなに相手が感情的になり時に挑発的な言葉を投げかけようと、態度を変えず、落ち着いて相手の言い分を受け止めて、議論の中で論理的に説明し相手を納得させていく姿、哲人の人間性に感銘を受けた。立派な大人としての対応だ。
アドラーの思想は言われて考えてみれば、なるほどと素直に受け止められるものと、そうはいってもなぜ?それは正論だけど、と受け入れにくいものもある。但し説明されて、その言葉の真意が理解できると確かに、なるほどと思わされる。
この言葉や考え方はしっかり自分が理解し納得し、説明ができる状態にまで自分自身に落とし込まないと、その言葉だけ覚えて使ってしまうと、言われた相手を不快にしてしまうだけになってしまう。
それなだけに、なかなか難しい勘違いされやすいようにも感じた。
【学び/印象的な言葉】
◆人は怒りを捏造する
「怒りに駆られて、大声を出した」のでは
ない。ひとえに「大声を出すために、怒っ
た」のです。つまり、大声を出すという目
的をかなえるために、怒りの感情をつくり
あげたのです。
ただ大声で威圧するため、それによって自
分の主張を押し通すために、怒りの感情を
使っているのです。
怒りとは出し入れ可能な「道具」
◆「大切なのはなにが与えられているかでは
なく、与えられたものをどう使うかであ
る」
◆あなたが変われないでいるのは、自らに対
して「変わらない」という決心を下してい
るからなのです。
人はいろいろと不満はあったとしても、「このままのわたし」でいることのほうが楽
であり、安心なのです。
「もしも何々だったら」と可能性のなかに生
きているうちは、変わることなどできませ
ん。
◆「これまでの人生になにがあったとして
も、今後の人生をどう生きるかについてな
んの影響もない」
◆個人だけで完結する悩み、いわゆる内面の悩みなどというものは存在しません。どんな種類の悩みであれ、そこにはかならず他者の影が介在しています。
◆われわれを苦しめる劣等感は「客観的な事
実」ではなく、「主観的な解釈」
◆「見かけの因果律」
本来はなんの因果関係もないところに、あ
たかも重大な因果関係があるかのように自
らを説明し、納得させてしまう。
◆健全な劣等感とは、他者との比較のなかで
生まれるのではなく、「理想の自分」との
比較から生まれるものです。
◆われわれが歩くのは、誰かと競争するため
ではない。いまの自分よりも前に進もうと
することにこそ、価値があるのです。
◆人は、対人関係のなかで「わたしは正しい
のだ」と確信した瞬間、すでに権力争いに
足を踏み入れているのです。対人関係のな
かで「わたしは正しいのだ」と確信した瞬
間、すでに権力争いに足を踏み入れている
のです。
◆誤りを認めること、謝罪の言葉を述べるこ
と、権力争いから降りること、これらはい
ずれも「負け」ではありません。
◆行動の目標
①自立すること
②社会と調和して暮らせること
行動を支える心理面の目標
①わたしには能力がある、という意識
②人々はわたしの仲間である、という意
識。
◆承認欲求の危うさは、ここにあります。いったいどうして人は他者からの承認を求めるのか? 多くの場合それは、賞罰教育の影響なのです。
適切な行動をとったら、ほめてもらえる。不適切な行動をとったら、罰せられる。アドラーは、こうした賞罰による教育を厳しく批判しました。賞罰教育の先に生まれるのは「ほめてくれる人がいなければ、適切な行動をしない」「罰する人がいなければ、不適切な行動もとる」という、誤ったライフスタイルです。ほめてもらいたいという目的が先にあって、ごみを拾う。そして誰からもほめてもらえなければ、憤慨するか、二度とこんなことはするまいと決心する。明らかにおかしな話でしょう。
◆われわれは「他者の期待を満たすために生
きているのではない」
他者もまた「あなたの期待を満たすために
生きているのではない」
◆「馬を水辺に連れていくことはできるが、
水を呑ませることはできない」
自分を変えることができるのは、自分しか
いません。
◆自らの生について、あなたにできるのは「自分の信じる最善の道を選ぶこと」、それだけです。一方で、その選択について他者がどのような評価を下すのか。これは他者の課題であって、あなたにはどうにもできない話です。
◆他社の評価を気にかけず、他者から嫌われ
ることを怖れず、承認されないかもしれな
いというコストを支払わないかぎり、自分
の生き方を貫くことはできない。
◆人は「わたしは共同体にとって有益なの
だ」と思えたときにこそ、自らの価値を実
感できる。
共同体、つまり他者に働きかけ、「わたしは誰かの役に立っている」と思えること。他者から「よい」と評価されるのではなく、自らの主観によって「わたしは他者に貢献できている」と思えること。そこではじめて、われわれは自らの価値を実感することができるのです。
◆われわれはなにかの能力が足りないのでは
ありません。ただ“勇気”が足りていない。
◆いずれの場合も攻撃してくる「その人」に問題があるだけであって、決して「みんな」が悪いわけではない、という事実です。
◆どうでもいいはずのごく一部にだけ焦点を当てて、そこから世界全体を評価しようとしている。それは人生の調和を欠いた誤ったライフスタイルなのです。
◆つまり、「わたし」が変われば「世界」が変わってしまう。世界とは、他の誰かが変えてくれるものではなく、ただ「わたし」によってしか変わりえない、ということです。
【実践】
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